今回は、スペイン、ガリシア地方に来たら絶対に食べてほしい定番メニュー、「タコのガリシア風」をご紹介します。
「このタコ、柔らかいわねえ!どうしたらこんなに柔らかくなるの?」というのが、「タコのガリシア風」を口にした多くの日本人たちの最初の一言です。
食べた事ない人は、「え?タコって柔らかいでしょ?」と思ったりします。
このスペイン調理方法でのタコの柔らかさは、なんと箸でちぎれるほど、柔らかいのです!
「タコのガリシア風」の正式名称?
スペイン語で「タコ」は「プルポ(pulpo)」と言います。
スペインの州の一つである「ガリシア」が発祥の地なので、「ガリシア地方風」。
そのスペイン語が「ア・フェイラ(a la gallega)」なので、
合わせて「プルポ・ア・フェイラ(Pulpo a la gallega)」と呼ばれます。
聞きなれない人からすると、「タコのガリシア風って何?本当の料理名は?」
と思われる方もいるかも知れませんが、正式名称なのです。
「アメリカンコーヒー」や「讃岐うどん」と同じように、発祥とされる地名が付いた料理名です。
ちなみに、地元ガリシアでは、昔からよくタコをお祭りで食することから、
「タコ(polvo)」と「祭り(feira)」という言葉のガリシア語を入れて、
「タコのお祭り料理(Polvo á feira)」と呼ばれています。
余談ですが、あるレストランでは、英語訳が「Octopus to the party」となっていて笑ってしまいました。
Google翻訳でしょうか。
確かに「feria(スペイン語)/feira(ガリシア語)」は「祭り」という意味ですが
「パーティーへ行くタコ!」とは…。
柔らかくなる煮方とは
この料理のレシピは非常にシンプルです。
- タコを冷凍する
↓ - 解凍する
↓ - 沸騰したお湯に足の部分だけ、先が丸くなるまで、出し入れする。(3回程)
↓ - 頭まで入れて、45分程煮る
特に変わった調理器具や調味料などもなく、これだけで、信じられないくらい柔らかくなります。
それでは、各工程の解説!
一度冷凍してから解凍するのは繊維を柔らかくしているのです。
昔はタコを叩いて、繊維を崩していました。
その後、沸騰したお湯に、まず頭を持って、足の部分だけを熱湯に入れます。
3回出したり入れたりして、先がクルクルッとなったら、丸ごと入れて全体を茹でます。
中まで柔らかくなるように、2キロくらいのものなら45分くらい茹でます。
調理時のポイント
熱々の茹で立てタコを手で掴むには、調理用の手袋を忘れずに。
長く煮込んでいるので、想像以上に熱く、素手では火傷しちゃいます!
調理バサミで触手を一本ずつ切り離し、さらに一口大に切ります。
柔らかいので、包丁では切りにくいのです。
カルパッチョや刺身のような薄切りでなく、少しコロコロした厚みで切りましょう。
そして冷めないようにすぐ木皿に並べ、上からバージンエキストラ・オリーブオイルをたっぷりと掛け、
さらに、塩とパプリカを振りかけて出来上がり!
こんな簡単で美味しい魚介類のレシピは、スペイン料理の中でも珍しいのではないでしょうか。
スペイン料理の代表格の一つ
ここ数年の世界的な日本料理のブームもあり、ガリシア州だけでなく、スペインのどこへ行っても、「スシ、サシミ、テンプラ」のようなものや「和食まがい」の料理があります。
日本料理を取り入れた創作料理は、スペインの有名シェフたちの間でとても流行っているのです。
その中で、ガリシア州では、ミシェランの星付きのレストランもいくつかあり、懐石料理のような凝った料理も多く見られます。
そんな風に流行が変化しても、伝統的なお祭りや料理のイベントには、相変わらず定番とされる料理。
「タコのガリシア風」は流行を越えて愛され続けている料理なのです。