スペインは、至るところにアートが存在している。
ヨーロッパへ旅行した事がある人なら、壁に描かれた絵を一度は目にした事があるのではないでしょうか?
スペインも例外ではなく、街の至る所でアートを目にします。
ヨーロッパでは、子供の頃から、美術館に展示してある作品を見て、色使いや独創性を学ぶ印象があります。
そう、芸術作品に触れる機会がたくさんあるのです。
壁に描かれたアートは、芸術作品そのものなのです。
一つ一つが素晴らしい作品であり、個性があるものばかりです。
街自体がアートのような場所も存在します。
北スペインには巡礼路があるため、ペレグリーノ(巡礼者)を描いた作品が多いのが特徴と言えます。
スペイン巡礼は、アートにも触れる事が出来る場所なのです。
自由で、独創的で、素晴らしい作品ばかりなので、ご紹介したいと思います。
【関連記事:絶対解答不能クイズ!グラフィックアート】
目次
シャッターが閉まっていなければ見られない芸術
お店のシャッターが閉まっている時のみ見る事が可能です。
パンプローナは、「牛追い祭り」で有名ですが、街の一大イベントらしく、私たちの目を楽しませてくれます。
”BUEN CAMINO”(良い旅を)とアートがエールする
この作品は巡礼路を歩いている際、道路脇に描かれていたものです。
巡礼者たちは、「証」としてホタテ貝をぶら下げて歩きます。
その象徴と言えるアートです。
”BUEN CAMINO”とは日本語で”良い旅を”という意味で、巡礼者の挨拶です。
自転車巡礼を表現する絵も
この作品はPonferrada(ポンフェラーダ)の街で見かけた作品です。
杖を持つ巡礼者と共に自転車が描かれていますね。
徒歩のみであった昔と違って、今は自転車巡礼という巡礼の方法もあります。
ですので、比較的現代に描かれた作品なのではないかと思います。
トリックなグラフィティアート
この作品はNajera(ナヘラ)で見かけた作品です。
立て看板のような立体物に絵が描かれているかと勘違いしそうですが、これはトリックアートになっていて、立て看板のようなモノはなく、壁に描かれている絵を立体に見せているのです。
巡礼者は12世紀が一番ピークで年間50万人歩いたと言われています。
その時代の装いですが、コーヒーを飲んでいるところが現代と被ります。
タイムスリップしてきたような作品です。
巡礼の歴史を辿れるグラフィティアートたち
上記2作品は、小さな村にあります。
中世以来、多くの人々がこの巡礼路を歩いたのだろうと言われています。
一説によりますと、現代のように自分探し、自分を再発見するためとして行われるような巡礼だけでなく、聖ヤコブ※の聖遺物※を拝み、より良くご加護を得ることにより、自分の権力や地位の向上、立身出世のために巡礼したそうです。
キリスト教への純粋な信仰心が伺えます。
※聖ヤコブとは、イエス・キリストの使徒の一人。
※聖遺物とは、キリスト教の教派・カトリック教において、イエス・キリストや聖母マリアの遺品とされています。
暫しの憩いを、我が身の鏡のようなアートと共に
この作品は、巡礼者が宿泊する宿(アルベルゲ)の壁に描かれていたものです。
道の途中、道端に座り休憩している姿は、まさに巡礼者そのものです。
この絵に描かれているような青い空にどこまでも続く、一本道の巡礼路を私も体験しました。
巡礼者の日常がよく表現されている一枚だと思います。
全ての願いは平和へと繋がる
この作品は、Villafranca del Bierzo(ビラフランカ・デル・ビエルゾ)の街の家の壁に描かれていた作品です。
この地を歩く理由は、さまざまです。
カトリックの信仰心がある人、心に傷を負った人や迷いのある人、ただ歩きたかっただけの人。
ただ一つ共通してる事は、みんな平和を願っているということ。
そんな気持ちになるような作品でした。
空になった家が発する、旅立ちを祝福するメッセージ
歩いていた際、空き家になっていた場所に描かれていた作品です。
”BUEN CAMINO
PEREGRINO”
“巡礼者たちよ、旅を楽しみなさい”と言われている気がしました。
巡礼の始まりの地では数えきれないグラフィティアートと出会える
上記3作品は、saria(サリア)の街に描かれていた作品です。
サリアは、サンティアゴ・デ・コンポステーラから100km手前の街で、証明書が発行されるので、ここから巡礼をスタートする人も多いのです。
歩いて来た街の中では一番グラフティーアートに出会えるのではないでしょうか。
数少ない女性巡礼者のグラフィティアート
女性の巡礼者が描かれています。
女性よりも男性巡礼の方が多くいたのだと思います。
女性らしさが描かれてあり、華やかさもあります。
日常を歩くこと、非日常を歩くこと、それを表現するということ、それに出会うということ
この作品は、Carrion de los Condes(カリオーン・デ・ロスコンデス)という街にで見かけた作品です。
街の入口に入ってすぐ近くの階段にこのアートはありました。
本当に見落としてしまいそうなほどです。
真ん中の正面(後ろ姿?)を向いている巡礼者の姿を境目に
右側階段上に描かれているのは、日常の生活、
左側階段下は非日常的な巡礼者の生活を表現しているようにも見えます。
紹介した作品は、歩いたからこそ出会えた作品です。
アートは見た人により感じ方が違って見えるのも特徴だと言えます。
スペイン巡礼は、アートにも出会える歴史ある素晴らしい場所だと改めて感じさせてくれる場所でした。